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ショーツは一体誰のもの?女性の悩みに寄り添い、しなやかに常識を変えていくふたりのストーリー

D2Cブランドの持つストーリーを伝える「Emotional Stories」。商品誕生の裏側にあるストーリーや商品に込められた思いをお伝えしていきます。

今回お話を聞いたのは、次の時代を生きる女性たちへ”わたし”らしくある自由を届ける

エンパワメントブランド『I _ for ME』の代表・江連千佳(えづれ・ちか)さんとデザイナー・野村華花(のむら・はるか)さん。

学生団体を通じて出会ったふたりは、あるひとつの疑問から、ショーツ一体型リラックスウェア「“おかえり”ショーツ」を開発しました。

「当たり前だから仕方ない」で終わらせず、女性がより自由にいられることを目指して模索し続けた開発のストーリーと等身大のふたりの言葉にきっと、小さな勇気をもらえるはずです。

毎日身に着けるものなのに、他人軸で選ばれるショーツへの疑問

画像:『I _ for ME』公式サイトより

――“おかえり”ショーツのアイデアの着想源は何だったのでしょうか。

江連さん:
一番は、あるYouTube広告です。ショーツから毛がはみ出ているのを見られたら彼氏から嫌われたという内容のCMで、その時には「なんか嫌だな」と感じたくらいでした。でも、ふと「どうしてパンツの形に自分たちが合わせて毛を剃ったり、脱毛したりしないといけないんだろう」と思って。そこから、「ショーツが大きくなったらどうなるんだろう」と考え始めました。

――江連さんから最初にアイディアを聞かされた時、野村さんはどう思いましたか。

野村さん:
そうきたかと(笑)。でも、たしかに男性はトランクスやボクサーなどさまざまな選択肢があるのに、女性のショーツは全部ピタッとした形なんだろうと思いました。

――開発にあたって、300名の女性にアンケート調査を実施されていますよね。その結果をご覧になったときに、どのような感想をいだきましたか。

江連さん:
実はアンケートの前に、30名ほどにヒアリングをしているんです。その時も、他人から見てどうかという視点でショーツを選んでいたり、家ではショーツを履いていない人が多かったりして、とても驚きました。生の声を聞いたことによって、自分たちだけが感じていた違和感だと思っていたのが、多くの女性の悩みなんだと確信に変わりましたね。

ショーツは毎日身に着けるものなのに、他人軸が中心で自分のこととして捉えている人が少ないと感じたのを覚えています。

使う人だけでなく“おかえり”ショーツに関わるすべての人に寄り添うことを大切にしたい

――最初のプロトタイプはどのようなものだったのでしょうか。

江連さん:
私がおばあちゃんと布地を買いに行って、ミシンで縫って作りました。デザインで作った色が、市販の布地になかった時には、自分でお鍋を使って染めました。本当に手作りです。

そこから、国内の生産工場に片っ端から電話をかけました。でも、どんなに掛け合ってもダメで。その中で1件だけ、社会的な目的を持ってものづくりをする人を支援したいと思っている縫製工場が見つかったんです。それで、急いでプロトタイプを持ってプレゼンしに行きました。

――縫製工場さんとショーツを作っていくにあたって、譲れなかったことはありますか。

野村さん:
どこから見ても美しい形であることはとにかく意識しました。平置きするとはみ出てしまう、股の部分のあて布が見えないようにとか、ウエストを調整するリボンが骨盤に当たらないようにとか。本当に細かいことなのですが、毎日使うものなので、開封したときから身に着けた時まで嬉しくなるような商品にしたいなと思い、細部にはとことんこだわりましたね。

江連さん:
「身につけて嬉しくなるショーツにしたい」というのは最初から言っていましたね。ただ、いわゆる「ザ・女性的」なデザインにはしたくなかったので、身につけて気分が上がるけど、いわゆる「可愛らしさ・女性らしさ」に寄らないデザインを見つけるのには苦労しました。

――カラーバリエーションがブルー1色なのも「可愛らしさ・女性らしさ」に寄せないことが理由でしょうか。

野村さん:
私の直感です(笑)。ブランドコンセプトとの兼ね合いも考え、『I _ for ME』らしい色ってなんだろうって思っていた時に、この色に出会いました。絶対に譲れなかったです。

江連さん:
ある意味、運命ですよね。選んだ後にその色が「トゥルーブルー」だと分かって。トゥルーブルーは「心に強く何かを持って色あせない」という意味がある色なんです。色相的にも青は、前に進もうと思う女性が好む色らしく、「自分たちらしいな」と納得しました。これ以上、ブランドの世界観を表現する色はないと思っています。

画像:『I _ for ME』公式サイトより

――生地にもすごくこだわっていますよね。トレーサビリティやサステナブルの観点から選ばれたコットンと製造過程は、開発段階から意識していたことだったのでしょうか。

江連さん:
意識していたというよりも、当たり前の感覚でした。どういう過程で作られているのかを自分たちできちんと把握するために国内製造にしています。オーガニックコットンも、児童労働が大きな問題となっているので、それに加担しないことはとても重要でした。

野村さん:
私自身も、誰かが負担を強いられてしまう物づくりはしたくないと思っていました。デザインは人に寄り添うものです。だから、女性だけに寄り添うのではなく、目には見えないけど“おかえり”ショーツに関わるすべての人に寄り添うことを大事にしたかったんです。

江連さん:
はるかさんは、本当に“おかえり”ショーツに関わるすべての人が幸になるためには何が必要かを考えてくれています。例えば私が「もっと売上を上げなきゃ」と焦る時にはいつも、「それって本質的なの?」「それは『I _ for ME』にとって本当に必要なことなの?」と聞いてくれるので、軸をブラさずにいられるんです。彼女がいなくなったらブランドが成り立たないと思いますね。

引っ張っていくのではなく、共に進む。『I _ for ME』が目指すエンパワメントの新しい形

――“おかえり”ショーツや『I _ for ME』の世界観を作り上げるにあたって、ウェブサイトやパッケージなどでこだわった点はありますか。

野村さん:
“おかえり”ショーツという新しい選択肢を選ぶ女性の背中をそっと押すイメージを持って、世界観を作り上げました。この「そっと押す」ことがすごく重要なんです。いわゆる女性をエンパワメントすることを目的にしていると、「強い女性」のイメージに見られがちですが、私たちは、「みんなを引っ張っていく」のではなく「一緒に前に進んでいく」ブランドでありたい。なので、ブランドカラーも黄昏時をイメージして作りました。

――なぜ、黄昏時?

野村さん:
黄昏時って、内省する時間だと思うんです。「今日のわたし、ダメだったな」と思っても、夕焼け空を見て「『I _ for ME』の色だ」と思い出してもらいたくて。ダメなこともあるけど、ひとりじゃない。そんなちょっと優しくてあたたかな世界を作ることを意識しました。

江連さん:
それはおそらく、はるかさんだから作れたんだと思うんです。悩みながらも進んでいくことを一番体現してるのが彼女なので。“おかえり”ショーツを作る時もすごく悩みながらだったので、本当に「らしさ」が出てますね。

『I _ for ME』ってちょっとした悲しさ、哀愁がなんとなく感じられると個人的には思っているんです。誰しも心の中に持っている物悲しさ。でもその中に、ほんの僅かでも自分は自分でいいんだと思える温かさを感じ取ってもらえるといいなと思っています。

自分の心の声に耳を傾けることで、心も行動も変わったふたりが届けたいもの

画像:『I _ for ME』公式サイトより

――『I _ for ME』の「_」には“do something”の意味が込められているとのこと。おふたりは、「_」にどんな言葉を入れますか。

江連さん:
私は、「感じる」かな。自分で自分のことを感じ取ってあげることがすごく下手くそなんです。人の悩みは聞けるし、人のことを察知するのは上手いのですが、自分のために自分の気持ちを知ることが本当に苦手で。

「自分を信じてあげよう」ってよく言われると思うんですが、自分の何を信じていいかが分からなくて。どうしてだろうと考えていったら、自分の感情にきちんと向き合えていなかったんです。

例えば、雨が降ってる中、タクシーが全然来なくてイライラすることがあったとします。そんな時、「イライラしちゃダメ」と思いがちですが、「イライラするよね、分かる分かる」と自分の本当の感情を肯定してあげる。すると、自分との向き合い方が自然と変わってくるんです。自分に嘘をつかないことの積み重ねが、本当の自分を作っていくんじゃないかなって最近悟り始めました。

野村さん:
私は「自分のために、自分で変化を起こしなさい」って入れると思います。今まで私は、エレンちゃん(江連さんの愛称)みたいに自分で行動を起こして社会を変えようとは思っていませんでした。周りから「何やってんの」とか「意識高い」と思われるのが怖かったんです。

でも、『I _ for ME』や“おかえり”ショーツを通して、自分自身で変化を起こすことは間違ったことじゃないって思えました。自分自身で自分のために何かを変化を起こすことに「不正解」はないので、どんどん変化を起こしていきたいですね。

江連さん:
はるかさんは、出会った時からかなり変わりましたね。

――どういうところが?

江連さん:
目の輝きが全然違うし、堂々としてるなって思います。それに、他人に意思決定を任せることが少なくなりました。「自分でできる」って自分を信じられているんだなと感じます。

野村さん:
そうですね。“おかえり”ショーツを作った経験で、私自身がすごく前向きに変われたし、自信を持てるようになりました。デザインの本当の力――みんなで思いを引き出して、それをアウトプットに落とし込んでいくところに価値があると感じながらも、それを実現する場所がなく、くすぶっていた頃から大きく変わったと自分でも思います。

今度は、私が“おかえり”ショーツを通して、自分に自信を持ってもらえるような体験をもっと届けたいですね。

江連さん:
ショーツは毎日身に着けるものなので、誰かの意見ではなく、自分にとって一番いいと思うものを自分で選んで欲しいなと思います。「自分自身の声に耳を傾けて選択する、その積み重ねが素敵なあなたを作ると思いますよ」ということを“おかえり”ショーツを通じて伝えていきたいです。

・・・

「誰かのため」でなく「自分のため」にショーツを選ぶ。

当たり前のことだけれど、改めて考えてみると「本当に自分の心と体に嬉しいもの」を選べていなかったかも。

そのことに気づかせてもらったインタビューとなりました。

足の付け根に沿う形が当たり前というショーツの常識を疑い、女性の悩みに寄り添うために試行錯誤を繰り返し完成した“おかえり”ショーツは公式サイトからご購入いただけます。

新感覚のリラックスウェアが、あなたの心を優しくときほぐしてくれるはずです。

プロフィール

江連千佳(えづれ・ちか)

株式会社Essay代表取締役社長。2021年2月“私らしくある自由を届ける”エンパワメント・ブランド 『I _ for ME』 を個人事業主として立ち上げ、同年クラウドファンディングにて資金調達に成功。“おかえり”ショーツの開発、生産、販売を開始。現在、津田塾大学3年次休学中。

野村華花(のむら・はるか)

『I _ for ME』デザイナー。美術大学に通うかたわら、“おかえり”ショーツの開発や、ブランド・アイデンティティなどの制作に携わる。

<取材・文=黒木あや

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黒木あや

フリーランスライター・編集者。 出版社勤務、スタートアップ企業の広報などを経て、独立。 最近、朝イチでジムに行き汗を流す楽しさに目覚めました。韓国コスメ〜プチプラ〜デパコスまで。情報源はTwitterです。